会員会社訪問レポート  株式会社八千代ポートリー

たまごから人、そして社会へ
今回ご紹介するのは、港南区港南に会社を構える株式会社八千代ポートリー代表取締役の笠原節夫様です。

代表取締役:笠原 節夫


取材:清水香織(慶應義塾大学2年)、鈴木航平(藤沢総合高校2年)
写真:内田愛梨(横浜総合高校3年)

◆市場にイノベーションを起こす
八千代ポートリー様は昭和54年に生産部門と販売部門の分離という業務体系の大きな転換を迎えました。これは生産から販売までの一連の業務の社内一本化で流通コストを抑え、商品をより安く消費者に届けることを狙っただけでなく、「自社のつくった製品の価値を相場にゆだねることなく、自分達で決めて流通させる」という革新的な理念に基づいたもの。全ての行程を自社管理することで、製品の品質や責任の水準を高めていく—。笠原様のイノベーティブな理念は生産体制の中に具現化され、八千代ポートリーのクオリティを支えています。
川村様はとても気さくで丁寧に説明してくださった。

 

◆一つ一つの商品にあるストーリー
「穂の華」というたまごをご存知でしょうか。このたまごを生む鶏は「お米」を食べて育ちました。食料自給率が低い日本が唯一自給できる「お米」を輸入飼料の代わりにすることで、日本人として農家を助けようという思いが込められたたまごです。
また、家庭料理の理想である「バランスよく栄養をとる」、これを叶えるたまごをつくろうと、鶏のエサに様々な工夫をこらしています。さらには学校給食も手がけ、アレルギーの子ども達のために製品開発を行うなど、そこにニーズや問題がある限りたまごの中に答えを見出そうと日々奮闘されています。
笠原節夫社長には、社会や人生のことなど熱く語っていただいた。
◆循環型社会を目指して
八千代ポートリー様のもうひとつのこだわりは、循環型ビジネスの展開です。近年、世界最大の穀物輸出国である米国において生産されたトウモロコシが、エタノール生産に利用され、日本国内の畜産物の生産コストに多大な影響を与えている。このため稲作農家と協力して「飼料用米」の生産への取組みを始めた。これは(1)休耕田の活用(自給率向上)、(2)CO2の削減、(3)土壌や水質汚染の低減につながり、この形が環境循環型ビジネス。次は社会貢献としてモノだけでなく、人も含めた循環型社会を創りたい。ソーシャルビジネスという新しいツールで、人と人とが出会い語り合う場づくりを、笠原様は次なる夢を模索し始めている。


毎日125万個のたまごがハイテク機械で検査されて出荷される。人の手でも丁寧にチェック

年間7200万円のコストダウンを図った、全自動管理システム。素早い動きに驚かされた。 

 

■取材後記
最後に笠原様にとっての「たまご」とは何かお尋ねしたところ、その価値は今も昔も変わらないそうです。数十年前は贅沢品だったたまごは、今は生活必需品。市場の価格が変化しても、自分の中での価値はブレず、貴重な存在。笠原様のたまごへのこの情熱が八千代ポートリーの日々の進化の原動力となっているのですね。

 

■会社概要
商号:株式会社八千代ポートリー
代表取締役:笠原 節夫
住所:神奈川県横浜市港南区港南3-5-21
電話:045-843-5105  FAX:045-845-2846
HP:http://www.yachiyo-egg.com
事業内容:鶏卵、鶏肉、生鮮食料品の販売

 

取材日:2012年3月
取材:清水香織(慶應義塾大学2年)、鈴木航平(藤沢総合高校2年)
写真:内田愛梨(横浜総合高校3年)