地域・人とのつながりと
『運』を大切にするモノづくり
今回ご紹介するのは、小林電機工業株式会社の代表取締役の小林様です。「人生 というのは運だよ」という言葉から始まり、貴重なお話をお聞きしました。
代表取締役:小林 昇
取 材:井上 由璃子(横浜市立大学3年)、宮脇 大輔(法政大学2年)
写 真:広報情報部 斉藤 保
◆厳しい下積み時代を経て
小林様は、今の会社を起こすにあたって、21歳頃から約15年間勤めた機械会社で培った経験がその土台になったとおっしゃっていました。「当時、私の担当は掃除から機械の修理まで様々あり、自分で何でもできるように社長から教育を受けました。社長は厳しく、仕事も激務でしたが、今でも社長や当時学んだことに対して感謝しています。」
小林様自身も、PTA会長を長く務められるなど教育熱心で、コミュニティ活動にも積極的に参画されていました。自分の好きな道を選べる現代の若者に期待を寄せ、自由な生き方を尊重しようとお考えのようです。
◆仕事への拘り
自分をより活かせる環境を求め、小林様は昭和43年に起業。当時、町の電気店ではほとんどできなかった、リミットスイッチのような工作機械の配線技術を強みとして創業当初から受託も順調に増えていったそうです。しかし、当時は世の中が人材不足の時代。配線技術を身に着けてくれる人材募集で近隣を一軒一軒訪ね歩くようなご苦労もされたようです。しかし、結果として優秀な人材確保ができたり、人材派遣の先駆けのような仕事まで精力的に取り組まれていたそうです。明るく前向きな小林様と寡黙で慎重な技術部長は長年の信頼関係を礎に、時にはお仕事の内容を巡って何度も議論を重ね意見が対立することも。しかし今までこうやって異なる意見を尊重しながら、二人三脚で乗り越えたのだと、人とのつながりの大切さを私たちに気付かせて下さいました。また、モノづくりにおいて、顧客のニーズに応えるため、同じものを設計しないという職人としてのこだわりを語る小林様の表情は、どこか誇らしげに見え、とても感銘を受けました。
◆いつまでも現役で
小林様は、現在82歳で毎日現役で現場で働いていらっしゃいます。成果が形として残るこの仕事にやりがいを見出し、いつまでも長く働けることに喜びを感じていらっしゃいました。数名規模の小規模な中小企業でも、ナショナルブランドの大企業と取引を行っており、揺るぎない信頼と高い技術力は大手に負けないのだということを皆様に伝えたいと取材中の和やかな空気に鋭く光る真剣な眼差しが垣間見えました。
初めての取材で緊張していた私たちに小林社長は終始笑顔でお話してくださり、気がつくとあっという間に取材が終わってしまいました。自身の生い立ちを『運』が良かったのだとおっしゃっていましたが、小林社長の厚い『人望』と少しの『運』が現在の小林電機工業を作り上げたのだと感じました。
商 号:小林電機工業株式会社
代表取締役:小林 昇
所在地:神奈川県横浜市港南区
野庭町643-3
電 話:045-842-5310
事業内容:制御盤・装置設計製作
取材日:2015年9月
取 材:井上 由璃子(横浜市立大学3年)、宮脇 大輔(法政大学2年)
写 真:広報情報部 齋藤 保